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嗚咽も涙もやっと止まりふと気付くと、長い腕で体を抱き締められていた。
外は息も白くなるような寒さなのに温かかったのは、広瀬がそうやって包み込んでくれていたから。
赤くなりながらそこから抜け出すと、顔を覗き込まれる。
「すっきりした?」
コクンと頷くと、広瀬は安心したように微笑む。
「あ、丁度バス来た」
それ以上は何も言わないで、私の右手を握りバスの入り口まで引っ張ってくれる。
離れていく手が無償に寂しい。もっと繋いで居たくて、手を伸ばしたけれど。何やってるんだろうと、慌ててその手を広瀬に振った。
「今日はありがとう……。また来週」
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