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座席に座り窓から外を見ると、コートのポケットに手を入れながら私を見上げてる。
目が合うと広瀬の唇が動く。
窓越しで何を言ってるか分からないけど、私を安心させるような言葉だって顔を見たら分かる。
広瀬の細めた瞳に、ほっと安堵の溜め息がこぼれ、窓ガラスをうっすらと曇らせた。
進み出すバス。
どんどん速度を速め、あっという間に広瀬は見えなくなる。
でも、瞼を閉じるとすぐに広瀬の顔が浮かんで来る。
温かい腕の中。
安心する鼓動。
低く優しい声。
私の心はいつの間にか、広瀬の事でいっぱいだった。
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