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「あ、もしかして……それ?」
くいと顎を向けられた先は、私の腕にかかったチョコレートの袋。
何言ってるの?
あんた結婚してるでしょ? 私を振って違う人の元へ走って行ったんじゃない。
また喉の奥に苦さを感じる。チョコを食べたい。今すぐ口に入れてこの苦さをなくしてしまいたい。
「あいつには内緒にするから、心配しなくてもいいよ。せっかく作ってくれたんだろ、ほら」
伸ばされた手は真っ直ぐ水色の紙袋に伸びて来る。
ああ……こいつはこうやって、私以外の女の人を手に入れたんだ。
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