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「あ。森下さん、ここに居たんだ。この書類の場所分かるかな?」
後退りするように出口へ向かっていたから、扉すぐに立っていたのに全く気付かなかった。
ぽすんと背中ごしに伝わる感触に、慌てて振り返る。
声の主は頷いていないのに「よろしくね?」と私の肩を叩き、そのままくるりと向きを変えさせられて廊下へと押し出される。
部屋の中で、焦った部長が私の名前を呼んでたけれど。
そんな言葉なんて耳に入って来ないくらい、自分の心臓の音がうるさく鳴っていた。
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