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小野山美紗に話を聞かなければ、話が進まない。
そう感じた私達が話をしようとしても、クラスメイトが珍しがってずっと周りにいる。
一限目、二限目の休み時間はそうして、話も出来ずに過ぎ去った。
三限目の休み時間になった時、相変わらず小野山美紗の周りには人だかりが出来ていて話が出来そうにない。
「そうだ、小野山……どこかで聞いた姓だと思ったんだよな」
美雪の席に集まって小野山美紗の様子を伺っていた私達は、健司の言葉に耳を傾けた。
「どこで聞いたの?小野山なんて、私は聞いた事ないけど」
「俺の家の近くにさ、小野山って廃屋があるんだよ。もうボロボロで誰も住んでないと思うけど」
美雪が聞いた事もないのは無理ないかな。
美雪と健司の家は、この学校から正反対の位置にあるし。
「てか、その家と何か関係あんの?」
「え?ああ。結局は小野山に話を聞かないと分からないんだけどさ」
それが出来ないから困ってるのにさ。
とにかく今は、小野山美紗と話をするチャンスを伺うしかなかった。
どういうわけか龍平だけが小野山美紗の隣で話をしているのが、私達を苛立たせた。
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