18775人が本棚に入れています
本棚に追加
「半年くらい前にさ、赤い人の話をしてくれたよね?結子さん、それの詳しい話知ってる?」
「赤い人?ああ、ぬいぐるみがどうこうってやつか。まだそんな噂が流れてんのか?」
龍平のドリンクを、あたかも自分の物のように飲む武司さんに迷いはない。
「噂じゃないんだけど……赤い人に殺されたらどうなるとか、何か知らないかな?」
変な事を聞いているのは分かってる。
でも、私達が知らない怪談を知っていた結子さんなら、少しくらい知ってるんじゃないかと私は思った。
「留美子、お前はバカか。殺されたら死ぬに決まってんだろ。試しに池崎を殺してやろうか?」
「マジ勘弁っス!」
うー……やっぱりそうだよね。
結子さんも、難しい顔で考え込んでるし。
「ごめんねぇ。殺された人に会った事なんてないからぁ、それは分からないよぉ」
うん、そりゃそうだ。
私だって3年前に死んだお婆ちゃんに会った事はないし、聞いた私がバカだった。
「何だ、誰か殺されたのか?」
「え?あ、ううん。ただ気になっただけ。心配しないで、お兄ちゃん」
その言葉に、私は首を傾げた。
どうしてあゆみは本当の事を言わないのだろうと。
最初のコメントを投稿しよう!