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テーブルの上に置かれていた食べ物がなくなり、武司さんに連れられてあゆみは帰って行った。
私と龍平が残されたけど、家の方向が違うから一緒に帰る事もなく、トボトボと家に向かって歩いていた。
辺りはすっかり暗くなっていて、民家の陰から今にも赤い人が飛び出して来そう。
「武司さんもついでに乗せてくれれば良いのに……乗りたかったな、車」
一人で道を歩いているっていう状況が寂しすぎて、龍平でも良いから話し相手になってくれないかなと、都合の良い事を考えていた。
あの角に、私を狙う変質者の視線が……あったらどうしよう。
でも、赤い人に襲われるくらいなら、変質者の方が100倍良いかな。
殺されるのは勘弁して欲しいけど。
「今日はぬいぐるみに拾ってないから、大丈夫のはずだよね?でも、小野山美紗はカラダ探しが続くとか言ってたし……どういう事なの?」
ぬいぐるみに触れもしていない今日は、赤い人に襲われる理由がないから。
まあ、夜になれば分かる。
なんて、おかしな事に巻き込まれても、マイペースを貫いていた私だけど……全員のカラダを探すというカラダ探しの本当の恐ろしさを、この時はまだ知らなかった。
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