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「でもさ、中には入らないんだろ?このまま帰るってのはどうだ?」
昨日、そうしようと思って生徒玄関に入っちゃったから、閉じ込められて出られなかったんだ。
「出られるかどうか分からないけど、見に行ってみようか」
健司の言葉にあゆみが頷いて、校門の方へと歩いて行く。
それに続くように私も歩き出すけど……遠目からでも、何となく外には出られないんじゃないかというのが分かる。
ぼんやりと赤く光る、空に伸びる幕のような物が学校の周りを囲っていたのだから。
「これは……出られるのか?」
赤い幕の近付くにつれ、それが何を意味しているのかが明らかになって行く。
とても出られそうにない。
まるで、世界から切り取られたように、校門から先の道がなくなっていたから。
「……残念だけど、戻るしかないみたいだね。やっぱりカラダ探しをさせられるんだね」
大きな溜め息を吐いて、生徒玄関に戻り始める美雪。
出る事が出来ないなら、カラダ探しをするしかない。
赤い人に見付からずにカラダを探してしまえば、それで終わると言うなら、さっさと校舎に入ってカラダを見付けよう。
ここに来た以上は、それしかする事がないのだから。
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