二日目

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「え……いや、私は赤い人が天井を走って、あゆみを追い掛けてるの見たんだけど、皆はどうだったのさ?」 「どうって……そりゃあ普通に床を走ってだろ。そんな事は早く言ってくれ」 私の言葉に、健司が慌てて答える。 見付かったら追い掛けられるんだから、どこを走られても同じじゃないの? 違うの? 「とりあえず、後で留美子には話すから、今はカラダを探そう。こんな所で時間なんて使ってられないし」 と、美雪が言った時だった。 『赤い人が、西棟二階に現れました。皆さん、気を付けてください』 今日最初の校内放送が流れたのだ。 「西棟かよ……俺と健司はピンチってわけだな」 「何嬉しそうに言ってんのよ。今日を入れて、後六日でカラダを見付けなきゃならないんだよ?」 「分かってるっての。赤い人なんて、武司さんに比べたら可愛いもんだぜ」 あゆみには、どういう意味か全く分かっていないようだけど、絶対に赤い人の方が怖いと思うよ。 「じゃあ、皆死なないようにしろよ」 よりによって、龍平の言葉に励まされるなんて。 悔しいけど、西棟に向かった二人を見送り、私達は東棟に向かって歩き出した。
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