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まっかにまっかにそめあげて~
ヤバい、どうしよう。
声がかなり近付いて来てるし、ペタペタって足音も聞こえるよ。
どうか、このまま通り過ぎてくれますように……。
赤い人が教室の前の廊下を歩いている。
すりガラス越しに、移動する人の頭が見えるけど……これってどうなの!?
直接じゃないけど、赤い人を見たから振り返ったら殺されるのかな?
怖くて振り返る事が出来ない中、赤い人は廊下の端まで進み、来た道を引き返したのだ。
お顔もお手てもまっかっか~
調子良く唄ってるよ……こっちはいつ見付かるかとヒヤヒヤしてるのにさ。
教室の半分くらいを通り過ぎただろうか。
部屋の中に私がいる事に気付いていないと、そう思い込んでいた時だった。
このまま通過すると思われた赤い人が、教室の後ろのドアの前で止まり、歌を唄うのをやめたのだ。
何?早く行きなさいよ……ここには誰もいないっての!
そんな願いも虚しく、ガラガラと教室のドアが開けられ、赤い人が入って来たのだ。
「髪の毛も足もまっかっか~」
あの歌が、より一層大きく聞こえた。
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