二日目

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どうしようどうしよう! 赤い人が入って来ちゃったよ! 見てしまったら、振り返る事が出来なくなるから、赤い人の姿を見る事は出来ない。 ついうっかり、振り返ってしまうかもしれないから……。 「あー……誰かがいる匂いがする……」 赤い人のその言葉に、私はビクッと反応した。 匂いって、そんなので分かるの!? てか、私は教室の入り口から分かるくらい匂ってるって事!? 歌を唄うのをやめて、クンクンと匂いを嗅いでいるような音が聞こえる。 机の陰に隠れている私が生き延びる方法は一つしかない。 ……逃げよう。 こんなに早く見付かってしまうなんて、私はどれだけ運が悪いのか。 足音を立てないように、コソコソと教室の前のドアに向かって移動する。 その間にも、赤い人は教室の中を移動している。 どこにいるか分からない恐怖が、私の行動を急がせた。 距離にしてドアまで2メートル程度。 すぐにでも辿り着けるこの距離が、どんなに遠く感じるか。 後少し、後少しと移動し、手を伸ばせばドアに届くと言う所で……小さく細い脚が、急に視界に割り込んで来たのだ。
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