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この脚はもしかして……もしかしなくても赤い人?
顔を上げると、廊下から射し込む微かな光で照らされて、赤い人がニタリと笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
「見ぃ付けた」
子供とは思えないくらい低い声でそう呟くと、ゆっくりと頭上に腕を振り上げたのだ。
あ……昨日も同じような殺され方をしたような気がする。
今日も死んだなと、振り下ろされる腕を見詰めながら諦めた時。
まるで、そこに赤い人などいなかったかのように、フッと消え失せていた。
「……は?消えた?まあ、助かったんだよね、私は」
その答えに辿り着くまでに少しばかり時間が掛かったけど、どうして赤い人が消えたのか。
理由は、すぐに分かった。
『池崎龍平さんが振り返りました。赤い人を見て、振り返らないように気を付けてください』
直後、校舎に響き渡る龍平の叫び声。
きっと、龍平は赤い人に殺されたんだ……。
「早くここから逃げなきゃ」
龍平を殺した後、この教室に再びやって来るかもしれない。
東棟の二階を調べるのは私の役割だけど、違う場所に向かうつもりでドアへと近付いた。
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