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「あー、えーっと。悪いんだけど美雪、私の前に来てくれないかな?」
私がバックしても良いんだけど、後ろを見る事が出来ない状況で後退するのは怖すぎる。
「え?良いけど、どうしたの?何か変だよ」
そりゃ、変にもなるよ。
「いやぁ……実は赤い人を見ちゃってさ。振り返る事が出来ないんだよね」
これを聞いて、美雪はどう思うだろう?
まさか、追い返さないよね?
「赤い人を見ちゃったの!?振り返らないでよね。私まで死にたくないから」
これは……一緒にいて良いって事だよね?
さすがは美雪、これは絶対に振り返らないように気を付けないといけないね。
美雪が不安そうな表情を浮かべて、その場に止まっていた私の横を通り過ぎる。
「良かったよ美雪。やっぱり一人は心細かったぁ」
「分かったよ、とりあえず教室の中に入ろう。赤い人が来ないとも限らないしさ」
美雪の言葉に、私は反射的に耳を澄ませた。
……けど、あの歌も、笑い声も聞こえない。
「まだ来てないみたいだけど……隠れた方が良いよね」
先に教室に入った美雪に続いて、私も室内へと足を踏み入れた。
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