二日目

43/49
前へ
/613ページ
次へ
それからしばらく考えた私は、「殺される」という恐怖に勝てずに、振り返る事が出来なかった。 美雪には悪いと思うけど、誰だって死にたくないよね。 私は悪くないと自分に言い聞かせて、ロッカーの上の箱を調べ続けた。 「こんな所にあるのかな……ダンボールの中にカラダなんか入れるかな普通」 そんな状況が日常生活の中にあるはずがないけど、何のヒントもなく探すというのは精神にくる。 どれだけ調べても、そんな物なんか出てこないんじゃないかと思ってしまう。 二個、三個とロッカーの上から下ろし、中を調べても、この作業自体が無意味なんじゃないかと思えてきた。 「あーもう!面倒くさい!」 美雪の事と、箱の多さにイライラしたからか、私は椅子の上に乗り、箱を次々と床に落とした。 ドサドサと、中々に激しい音がしてるけど関係ない。 だって、赤い人は東棟の三階にいるんだから。 一列に並んでるロッカーの上を処理して、一息ついた私は床に散乱した物に携帯電話の画面を向けた。 何かの書類に、使い方が分からない計器、古い鉛筆削りなんかもあるその中に、それらとは相容れぬ奇妙な物体が混ざっていたのだ。
/613ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18775人が本棚に入れています
本棚に追加