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偽物だと思い込んでいたあの腕。
実は本物で、カラダの持ち主しか動かせなかったとしたら。
「面倒くさい……まあ、本物か偽物かなんて分からないけどね」
他の皆はカラダを見付けたのか知らないけど、とりあえず私は一つ見付けた。
今日を入れて後六日で残りのカラダを探すのに、少し余裕が生まれたって事かな?
私の祈りが天に届いたのだろうか。
一つ見付けたから、この部屋にはまだカラダが固まってありそうな気がしていた。
「よしっ!この調子で調べるとしますか」
張り切って次のロッカーの上の荷物を調べようと、椅子に手を伸ばした時、その声は聞こえた。
「あ~かい ふ~くをくださいな~」
静寂の中で微かに聞こえたその声は……赤い人の声!
廊下の外から聞こえるそれは、確実にこちらに近付いて来ている。
なんか私だけ狙われてない!?
それとも、赤い人が動く先に私がいるだけなのか……それは分からないけど、運が無さすぎる。
「どこか隠れるところは……」
辺りを見回した私は、さらに絶望的な事態に陥っている事に気付いた。
床に散乱する荷物が、「私はここにいる」と教えているようなものだ、と。
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