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こんな状態じゃあ、部屋に入られたら終わりだ。
それに、赤い人は匂いで人がいるかどうか分かるみたいだし……ここにいたら間違いなく殺されてしまう。
「し~ろい ふ~くもあかくする~」
そんな事を考えている間にも、歌が大きく聞こえて来ている。
迷ってる暇なんてない、すぐにでも逃げるか隠れるか決めないと。
……よし、隠れよう。
部屋から飛び出せば、それこそすぐに見付かって追いかけ回されるだろうから。
(どうか、鼻づまりで匂いが嗅げませんように)
祈るような気持ちで辺りを見回し、私がギリギリ入れそうな細長いロッカーに近付き、そっとそれを開けた。
運良く誰も使っていないと思われる、空っぽのロッカー。
その中に身を潜ませて、私は音を立てないようにそれを閉めた。
「まっかにまっかに……」
その声と共に、職員室のドアが勢い良く開けられる。
ん?確かここのドアって……。
「そめあげっ!!」
「げ」の場所でドアが戻って来たのだろうか。
ゴスッ!という鈍い音が、ロッカーの中にいても聞こえた。
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