六日目

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脚が動かなくて、素早く移動なんて出来ない。 醜く這って、一階に向かう階段に手を掛けた。 もしも龍平が殺されて、私を追って来ても構わない。 どうせ死ぬ事を覚悟したし、今さら殺されたって、遅いか早いかの違いでしかないのだから。 「こんの……化け物っ!!」 その声と共に、ドンッ!と壁を揺らすような音と振動が私にも伝わった。 階段を下りながら、龍平が死なないようにと祈り続けて、転がるように辿り着いた踊り場。 生徒玄関の方に見えた眩しい光が、あゆみが頭部を回収したという事を教えてくれた。 「良かった……間に合ったんだ」 と、私が安心した時にそれは起こった。 一階と二階の間にある踊り場。 その壁に何かがぶつかって、私の横に落ちて来たのだ。 「ひゃっ!」 思わず悲鳴を上げた私が見た物は……腕と脚を失って、顔も血塗れの龍平だった。 苦しそうに肩で息をして、目も虚ろだ。 「龍平……ご、ごめんね」 逃げろって言ってくれたのに、私はまだこんな所にいるのだから。
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