16

15/16
前へ
/186ページ
次へ
『美咲。』 呼ばれて顔を上げる。 プッ。 いきなりお腹を抱えて笑い出す、悠輔になんなの?と見つめる。 『ひでー顔。ついでに風呂に入ってこれば?』 化粧したまま寝て、大泣きしたんだった! 慌てて洗面台に向かう。 『ハハ。本当に酷い。』 目の周りは真っ黒で頬には筋が出来てる。 恥ずかしい! 急いで顔を洗いシャワーを浴びて出てくると、支度をした悠輔がいた。 『どこか行くの?』 もう少し一緒に居たいのに。 『美咲も行くぞ。』 その一言に嬉しくなり、悠輔の後を追う。 着いた先は私の家。 キョトンとしている私に悠輔が口を開く。 『荷物持って行かないといけないだろ?』 そうだった。 まったく、と呆れ顔の悠輔を置いて、車を降りる。 『今、持ってくるから待ってて。』 『いや、俺も行く。』 1人で大丈夫という私の抵抗を無視して中に入っていく。 汚くは無かったはず・・・。 鍵を開け、悠輔を招き入れる。 初めて家に入ってもらうって緊張する。 悠輔を盗み見ると『美咲らしい部屋だな。』と言われ恥ずかしくなる。 『美咲、今日から3連休?』 なんで知ってるんだろうと思いつつも頷く。 『じゃあ、連休中にある程度、荷物持って来いよ。』 『どういうこと?』 今持って行くんだから、それですむのに。 『ここを引っ越して、一緒に住もうって言ってるんだけど。』 拗ねるような悠輔に笑顔を向ける。 『うん!悠輔も手伝ってね。』 『わかってる。』 そういって優しく笑みを見せる。 直ぐに必要なものを準備をして、悠輔は自分の車で、私も自分の車で悠輔の自宅に戻った。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2821人が本棚に入れています
本棚に追加