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結城 薫 (ゆうきかおる)は立ち止まった。 店員募集の張り紙を目にして。 まさかとは思った。 自給850円、こんな条件の良いバイトなんて今時あるはずがない。 もう一度、確かめる。 やはり、そこには同じ文字の羅列があるだけだ。 薫は今すぐにでも、携帯を取り出して申し込みをしようと思った。 しかし、その催促する気持ちを張り紙の場所があと一歩のところで食い止めているのだ。 怪しい、実に怪しい。 薫はそんな気持ちがして堪らなかった。 最近は、若者を狙った悪徳犯罪が急増している。 知識の無い若者や判断能力の無い若者を食い物にしているのだ。 そんな面倒には巻き込まれたくない、いや、一緒にされたくないという一種の偏見といったほうが薫の今の気持ちにふさわしいかもしれない。
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