ー始まりー

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母親は相手の男が帰るまでその部屋に子供が居る事を忘れる。 短くて1日、長くて一週間、子供はひたすら押し入れの中で我慢を強いられる。 (まだ、でちゃだめかな?) 子供は部屋から聞こえる音に耳を塞ぎただただ母親が押し入れの戸を開けてくれるのを待つ。 いつもいつもそんな生活で子供はずっと部屋に居た。 子供には父親と呼べる人は居なく近所の人間もあまり子供を知らない。 だから、子供を助けれる大人は誰一人居なかった。 そんな生活が続いていたある日。 子供の母親が荷物を纏めいた。 『おかあさん、どこにいくの?』 子供の問い掛けに母親は『あんたには関係ない』と一言だけを返して男と部屋を出た。 部屋に残ったのは子供だけ。 母親は子供を捨てた。 まだ、自分が捨てられたと分からない子供は部屋で一人、母親の帰りを待つ。
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