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「先輩。やっぱり何か変ですよ。
海事の人が通る度、そわそわしてるじゃないですか」
「…そんなことないって」
「ふーん……」
不満気に一度口をつぐんだ三浦君が、突如爆弾を投下した。
「社内の彼でも通りました?
……結婚秒読みの」
秘密にしてたのに、どうして?
取り繕うのも忘れて、三浦君の顔を凝視したまま固まった。
「……へー。
否定しないってことは、
海事の人なんですね」
いつになく三浦君が意地悪だ。
今この話はキツいのに。
「カマかけただけですよ。
でも当たりなんだ?
へー、結婚するんだ先輩」
「……結婚はないから」
「どうしてですか?」
しつこい三浦君に苛々して、
一気に吐き出した。
ただし、社食なので小声で。
「振られたからよ、1週間前に。
別れたてホヤホヤ」
「ぶっ、ゴホッ、うっ」
私のヤケクソのカミングアウトに三浦君が麺を詰まらせた。
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