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「…そろそろ戻らなきゃね。
準備終わってないし」
冷や汗を感じながら、
急いで食器をトレーにまとめる。
早くここから逃げ出したい。
「あ、先輩のもお皿返してきますよ」
三浦君が私のトレーも引き寄せて
立ち上がった。
こういうところは女の子のように気が利く。
でも一人で対峙したくない私は、
今は三浦君だけが頼りだ。
「ううん、私も一緒に行く」
置いてきぼりを食うまいと、
慌てて三浦君に駆け寄った。
三浦君と返却口に並びながら、どんどん距離が近づく崎田さんを背中が意識する。
横では三浦君が何か言っているけれど、全く頭に入ってこなかった。
「先輩、たまには僕を頼って下さいよ。先輩の泣き言なら喜んで聞きますから」
「…うん、ありがと」
必死に意識を三浦君に戻しながら、笑顔を繕って返事した。
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