コーヒーの彼の正体は

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午後からの会議は経企室で策定した経営方針を社内に徹底するもので、社長以下ほとんどの役員と本社管理職が出席する。 プレゼンは好きでないけれど、重要な幹部会議の度に任されるようになった。 「先輩、プレゼン巧いですよね。 先輩がやると、微妙な企画でも もっともらしく聞こえるんです」 「あのね三浦君。 私、詐欺師じゃないんだから」 でも三浦君の言う通り、 内容が今一つならなおさら、 度胸で押し切るしかない。 「社長の前でも堂々としてて、 僕には無理ですよ」 「でも、室長が私を指名するのは 単に女だからじゃないかな。 相手が攻撃しにくいってことで」 社長付の経企室が昇進で厚遇されていることに反感を持つ社員は少なくないと聞く。 他部門を経験していない私は余計に、自分達の仕事に客観的価値があるのか自信を持てないでいる。 そんな中でのプレゼンは、 いつも胃がキリキリした。
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