コーヒーの彼の正体は

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ホールを埋める各部門の管理職の中、社長の講話で会議が始まった。 資料で流れを確認しながら 出番を待つ。 プロジェクターで映し出される画面を操作するのは三浦君だ。 (先輩、もうすぐです) (……胃が痛い) (みんなカボチャだと思えば?) (なら代わってよ、三浦君) (……) とうとう出番がやってきた。 『経営企画室の成瀬副主任より、来期の市場予測についてご説明致します』 司会の案内で深く一礼し、 場内を大きく見渡しながら腹を括る。 壇上では怯まず堂々と振る舞わなければ、効果的なプレゼンにはならないからだ。 順調に滑り出し、 中盤に差し掛かった頃。 管理職ばかりの出席者の中に、 一人若手社員がいるのが 不自然に思えて目についた。 座っていても背の高さが目立つその男性。 一度は素通りした視線をふと戻した私は、そのまま硬直した。
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