コーヒーの彼の正体は

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彼は私の前まで来ると、 私が両手で抱える資料の上に、 ポケットから何かを取り出して置いた。 「…同期ぐらい覚えとけよ」 耳元に落ちた低い声。 その間近な距離に心臓が跳ね上がったと思ったら、 気が付くと、彼はエレベーターホールの方へと角を曲がって立ち去っていた。 あの夜と同じく、私はただ茫然と、その背中を見送るだけだった。
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