コーヒーの彼の正体は

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「先輩。駄目じゃないですか!」 「何が?」 三浦君が真剣な顔で私に向き直った。 訳も分からず、仕方なく聞く。 「失恋したからってダメですよ。 軽はずみにそういうことするの。 後悔しか残りません。 僕、経験あるから分かります」 「…何の話?」 「しかも名前も知らない相手となんて」 「待って。何想像してるのよ! そんなことは一切ないから。 泣いたから落ちたの、メークが」 「泣いたって、何で」 「はい、終わり。 それ以上聞かないの」 三浦君が膨れ面で私の書類の上の “何か”を取り上げた。 「ちょっと、返してよ。 ここ、ファイルの上、乗せてよ」 私の手が塞がっていて取り返せないのをいいことに、三浦君は名刺の表裏をじっと見ている。
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