セッション

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小さな会社を設立し、朝から晩まで働いていた。 最初はうまくいっていた経営が、バブルの影響で段々あまり仕事がこなくなった… それでも信じて、母さんと二人必死で働いていた。 リョウタの記憶にあるのは油まみれになって汗だくで働いている父の姿しかない。 キャッチボールをした記憶も、旅行に行った記憶もない。 そして… 莫大な借金だけ残し、ある夜、突然姿を消した。 生暖かい風が吹く、夏の初めの夜だった。 父さんが出ていった後、母さんは泣く事もなく、ただボーゼンとしていた。 ボーゼンと会社の中を眺めていた。 いつも父さんが動かしていた機械の辺りをただ一点見つめて…。
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