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かのんはもうすでにステージにあがってギャラリーに手を振っている。
こいつ天然バカなのか…
それとも母さんみたいに辛さを笑顔でかくしているのか?
俺は咳ばらいをし喉を整え木のステージに上がる。
すると鼻の赤い酔っ払いのおじさんが木の杖で指揮者をかってでてくれた。
なんだか可笑しくなってきた。
ホテルに帰ったら厳しい処分が待っているだろうに。
でもなんか楽しかった。
ワインのせいかもしれない。
「店長!リラックスリラックス!」
かのんが背中を叩く。
指揮者のおじさんが構える。が、酔ってるせいかよろけてしまった。
会場がどっと笑う。
俺も笑う。かのんも笑う。
なんか、歌いたい。思い切り。
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