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ハジマリ 1-19
ミッソーはミサを説得することは、もはや不可能だと考えていた。
「どうしても解っていただけませんか」
ミッソーは言った。
もとはと言えば自分が悪いのだ。
あんなに熱く愛し合っていたミサの前から、一言もなく姿を消した自分を今更ながら悔やんだ。
かつてのように熱情を交わすことはもう不可能なのだろうか?
ミサの凍り付いた心と体を溶かすことは出来ないのだろうか?
ミッソーはミサをかつてないほど愛しいと思った。
突き上げる欲望に翻弄されていた。
◆ミッソー
ハジマリ 1-20
彼は今、何を考えているんだろう。
『解っていただけませんか』…なんて他人行儀な言葉を使うんだろう。
ミサもまた、あんなに激しい言葉と怒りをぶつけた自分に驚いていた。
彼に対する愛情は以前と少しも変わらない。
彼だけは何があっても私の味方だった。
いくつもの我儘を大きな心と体で包んでくれた。
いつでも私を受け入れ、愛することの喜びと切なさを言葉通り傍にいて教えてくれた。
自分が望む以上に私を愛し、そして裏切り去っていった愛しい人…。
彼はまだ私を愛してくれているのだろうか?
◇ミサ
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