第1章

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ハジマリ 1-21 「ミサ、自分の殻を打ち破るんだ。世界は広くて刺激的だ。グッピーだって一生を同じところでグルグル回るのにうんざりしているはずだよ。ミサもあの部屋から出て世界へ飛び出そう」 ミッソーは最後の説得にかかった。 「今すぐ返事は求めない。明日まで待とう、僕と行く決心がついたら、明日10時に成田空港へ来てほしい」 ミッソーはそう言うと立ち上がった。 ◆ミッソー ハジマリ 1-22 自宅マンションまでの道程、あの頃のように隣にはミッソーがいる。 今まで二人で何度も目にしたはずの見慣れた風景が、ミサの新しい未来へと続く道となるのだろうか? お互い言葉を交わすこともなくマンションに到着すると、ミッソーはミサの指に触れ「待っている」と言い残し去った。 ミサは一人部屋に戻り明かりをつけると、いつものようにグッピーの待つ水槽へ向かった。 「ごめん、遅くなっちゃったね。お腹すいたでしょ」 ミッソーに触れられた指先がいつまでも熱いことに、ミサはきづいていた。 ◇ミサ
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