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ハジマリ 1-23
ミッソーはミサのマンションの近くで、目立たないように駐車している一台の車に気付いた。
ミッソーの動物的な感覚に訴えるものがあった。
ミッソーはマンションのエントランスへ引き返し4桁の暗証番号を押し、ロックを外すと中へ躍り込んだ。
エレベーターの表示はミサの階を示していた。
ボタンを押してエレベーターがおりてくると、それに乗り込む。
胸騒ぎがしていた。
ミッソーがエレベーターを下りた時、通路は静まり返っていた。
ミッソーはミサの部屋のブザーを鳴らした。
◆ミッソー
ハジマリ 1-24
ミサはシャワーを浴びた。
いつもより熱いしぶきを全身に受け溶けてゆく心のわだかまりをすっかり洗い流そうとしていた。
無意識に隠していたプライドが忘れかけていたミッソーの温もりに触れ、泡とともに渦を巻き排水溝へと姿を消していった。
『新しい未来、私の…私とミッソーの』不安が消えたわけではない。
ただ、ミッソーと二人なら殻を破り、馴れ合いの日常から抜け出すことも可能かもしれない。
心を決めたミサは急いで濡れた髪を乾かすと、クローゼットの中からスーツケースを引っ張りだした。
長い間、タンスのうえに伏せられた写真たての思い出を起こし、彼の笑顔に見守られながら出発の準備にとりかかった。
身の回りの衣類を詰めリビングに戻ると、風の流れる方向に違和感を感じ振り向いた。
口を塞がれ遠退く意識の中、ミッソーの笑顔も小さくなっていった。
◇ミサ
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