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ハジマリ 1-25
部屋の中からは返事がない。
ミッソーはドアノブを回した。
予想通りすぐに開いた。
部屋の中には誰もいない。
微かにクロロホルムの匂いがした。
ミッソーは部屋を飛び出すと階段を一気に掛け下り、エントランスの自動ドアを走りぬけ道路の両側を見渡した。
先程あった車は姿を消していた。
「チッ、やられたな」
ミッソーは唇を噛み締めた。
迂闊だった。
こんなにも早く敵が行動を起こすとは予想していなかったのだ。
ミッソーは防衛省テロ特命課へ連絡を入れた。
◆ミッソー
ハジマリ 1-26
どのくらいの時間が経過しただろう…。
意識を取り戻したミサが状況を把握するのに時間がかかった。
頭が鈍く痛み、あの不快な匂いとともに記憶が蘇る。
ミサは薄暗闇の中、必死に目を凝らし、辺りを見回した。
だんだんと目が慣れてきた。
剥き出しになったコンクリートの天井、窓は見当たらない。
息苦しい…。
後ろ手に縛られ身動きの困難な体をやっとの思いで起こすと、延ばした足に何かが触れた。
ミサは息を呑んだ。
男が死んでいる。
ミッソーが殺した男だろうか?
いや、違う。
この男の額に拳銃で撃たれた跡はなかった。
◇ミサ
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