第1章

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ハジマリ 1-29 ミッソーは自分のデスクに座るとパソコンの電源を入れた。 バイオ発信器は48時間経過すると人間の体液で溶けてしまう。 ミッソーはスパイ衛星にログインしてバイオ発信器の検索を開始した。 間もなく赤く点滅する光がパソコン画面の地図上に現われた。 ミッソーはそのポイントをズームアップして確認した。 東京竹芝桟橋近くの倉庫の一角である。 ミッソーは迷彩服に着替えると、完全武装に移った。 サスペンダーには二個の手りゅう弾をつけ、銃剣を弾帯にぶら下げた。 ◆ミッソー ハジマリ 1-30 開かれた扉の向こうには数人の男が立っていた。 みな揃いの迷彩服を着てヘルメットをかぶり銃を持っている。 テレビで見るそれと同じだ。 そのうち二人が中に入ると男の死体を運びだした。 入れ代わりに入ってきた男の顔が裸電球に照らされた。 「近寄らないで!私をどうするつもりなの?」 顔や雰囲気からすると東南アジア系のようだが、果たしてミサの言葉が通じているのかどうか…男は黙ったままミサを扉の外へ連れ出すと、銃を突き付け方向を促す。 ミサは目だけを動かし周囲を見回したが自分がいる場所が判らなかった。 ◇ミサ
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