第1章

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ハジマリ 1-33 倉庫から男たちが出て来た。一人、二人、三人だ。 ミサは両脇を抱えられている。 もう一人の男は自動小銃を構え、辺りを警戒している。 ミッソーは小銃を持った男の右目にレーザー銃の照準を合わせ、静かに引き金を引いた。 ミッソーは特級射手である。 300メートル離れた場所から人間の額を打ち抜くことが出来る。 射撃大会で優勝したこともある。 そのためテロリストとの50メートルの距離は容易すぎる距離である。 一人の男がどっと倒れた。 ミッソーは連続して引き金を引いた。 ◆ミッソー ハジマリ 1-34 男たちは声をあげる間もなく地面に倒れこんだ。 ミサは急いで倉庫の陰に身を潜め息を殺した。 しかしミサの頭は混乱していた。 テロリストに殺された男、今度は自分を拉致したテロリストが何者かに射殺された。 相手が敵なのか味方なのかさえわからない。 その時、射殺された男たちの後ろに新たな人影が見えた。 ミサは咄嗟に後ずさり、倉庫の脇に積んであったパイプに乗り上げた。 崩れたパイプは凄まじい音をたて、ミサに襲いかかる。 「ミサ、しっかりしろ!」 愛しい人の声が聞こえたような気がしたが、ミサの中に再び静寂が訪れた。 ◇ミサ
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