第1章

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ハジマリ 1-9 心臓がまるで耳元にあるかのように大きな音を立て握り締めたままの拳には汗が滲んでいる。 ミサはミッソーの車の後部座席で突然の出来事に呆然としていた。 「いったい何が起きたの?」 体を強ばらせスモークの貼られたウインドゥから恐る恐る外の様子を伺った。 ミッソーが黒い車のトランクを開けている。 植え込みの陰になっているのかもしれないが倒れた男の姿は見えなかった。 夕食時の為、辺りに人影もなく道路脇の公園も、外灯に照らされたあたりだけがボンヤリと白く見える。 「いったい何が?」 ミサはもう一度、声に出して呟いた。 ◇ミサ ハジマリ 1-10 まもなくミッソーが車に戻ってきた。 ミッソーは車を急発進させるとルームミラーの中のミサに言った。 「おかげで奴を片付けることが出来たよ。ありがとう」 ミッソーは慣れた手つきでハンドルを素早く切るとファミレスの駐車場へ車を停めた。 二人は店に入り席についた。 「僕は君に謝らなければならない」 ミッソーはコーヒーを飲みながらミサの顔を見て言った。 「一年前、僕は何も言わずに君の前から姿を消した。僕は政府からある特命を受けていた。そのため君に詳しく説明することが出来なかった」 ◆ミッソー
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