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ハジマリ 1-11
「政府?特命?何を言ってるか解らない!」
ミサは運ばれてきた紅茶に口もつけず、ミッソーを見つめた。
以前より少し痩せた彼がいた。
「わからない…」
ミサは一年前、何も言わず出て行ったミッソーの気持ちが解らなかった。
ミサは時々、隠れてメールのやり取りをする姿を見てミッソーの浮気を疑った。
しかしミッソーは、そんな心配をよそに相変わらずよく食べ、よく笑った。
自分への愛情は少しも変わらないように見えた。
ある日、予定よりも遅く帰宅し『ただいまのキス』もそこそこに自分の部屋にこもったミッソー。
「あなたの好きな冷製パスタ作ったよ!」
「ごめん、ちょっと食欲ないんだ…」
燻っていた疑念が切なさと混じり口をついた。
「私のパスタより美味しいの、誰と食べてきたのかな?」
努めて明るく振る舞うミサに「ごめん」と一言、言い残しミッソーは家を出た。
「グッピーちゃん…ご飯の時間だね」
ミサは涙で歪んだ水草を見つめていた。
◇ミサ
ハジマリ 1-12
「実は僕は防衛省テロ特命課の人間なんだ。自衛隊がイラクへ派遣されると決まった時、テロリストのアルカイダを壊滅するため自衛隊の部隊に先だって潜行命令が下った。そのため極秘で日本を出国したんだ。何も知らせず行ってすまなかった。ミサに危害が及ぶのを恐れたんだ」
ミッソーは素直に謝った。
ミッソーの脳裏にイラクでの激しい戦闘の記憶が蘇った。
多くのテロリストを殺害してきた。
さっき殺害した暴力団はアルカイダに資金提供をしていたため、ミッソーがマークしていた男だった。
◆ミッソー
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