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ハジマリ 1-13
ミサはミッソーの話を理解しようと言葉の一つ一つを頭の中で繰り返した。
自分には縁のない世界―イラク、アルカイダ―テレビカメラの向こうでは確かに起きている出来事。
でも私にはテレビのニュースの中だけの話。
―テロリスト、殺害…殺害?ミッソーが?そんなの嘘!
男に捕まれた腕が痛み、全てが現実の出来事だと思い知った。
ついさっき目の前で起こったことも。ミッソーが今、目の前にいることも。夢じゃないんだ!
◇ミサ
ハジマリ 1-14
「そんなことがあったんだね」
ミサは冷めた紅茶を飲み干すとミッソーを問い詰めた。
「どうして何も言ってくれなかったの?酷いよ…連絡くらいくれたっていいでしょ!謝ったってそんな…」
…私、何言ってんだろ。彼はちゃんと説明してくれたのに…私の為にしたことなのに…謝ることしか出来ないのに…。
ミサはずっと自分を責めていた。
あの日いつもと違うキスに気付いてしまった自分、ミッソーが浮気をしていると思い込んだ自分、引き止める言葉が見つからなかった自分、そしてミッソーを忘れようとしていた自分。
「寂しかった…」
素直な気持ちと涙が零れた。
◇ミサ
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