青空の下で

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5月 「なんとかなるって!」 この言葉は、俺の彼女の琴音がよく言う言葉だ。 容姿端麗で愛想もいい彼女がなぜ、大した特徴もない俺の告白を受け入れてくれたのか、理由はほとんど教えてくれない。 ただ、今までに一度だけ 「優だからだよ」 と笑顔で教えてくれたことがあったが、正直よくわからなかった。 俺が彼女と付き合い始めたのを知ったとき、友人たちは、まるで俺が重大な犯罪を犯したかのように糾弾してきたが、生まれてから一度も恋愛を経験したことがなかった俺には、それすらも誉め言葉に聞こえた。 思い返してみれば相当嫌なやつだったんだな、と自分でも思う。 でも俺はそれほど彼女を愛していたし、彼女も俺を愛してくれた。 このときから既に、彼女は俺にとって全てだった。
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