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第三講義棟は、校門から最も離れた大学の端に位置している。
一昔前はそこも学生達で賑わっていたようだが、新たな講義棟が建てられるにつれ講義でも使われなくなり、今では近づく人すらほとんどいなく、見た目もオンボロ、中身もオンボロ、な状態である。
俺はそんな第三講義棟に琴音を呼び出して、告白した。
あれほどロマンチックの欠片もない告白もないだろうに。
笑い声が聞こえ、ハッとする。
視界の端に、三人の学生の姿が見えた。
服装から髪型まで、いかにも軽薄そうな雰囲気が漂っている。
「あいつ下泥だぜ!下泥!」
「あんな変態、死んじまえばいいのにな」
「なにあのキモ面!マジウケるし!」
大学に来るのは久々だったから、少しは落ち着いてると思ったんだけどな。
まあ今となっては落ち着いていようが落ち着いていなかろうがどうだっていい。
俺はなにも聞こえなかったかのように歩き続ける。
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