精霊遣い

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そこは、常に空が砂色だった。 海に囲まれた島、アーカイル。開けた港には常に漁船がひしめき合い、縦横する細い石畳の道には店が幾重にも連なって見えた。 オレンジ色の髪をはためかせながら、少女シーナは期待に胸を膨らませそんな町並みを船上から眺めていた。 (今日、私はこの島で生まれ変わるんだ) 遠い、熱帯雨林に覆われた大陸から来たこの少女は、輝かしい自分の未来を確信している。 (精霊遣いとして、色んな人たちを助けるんだ。そして、いずれは・・・) 爛々と光る眼は真っ直ぐに、アーカイル島中央で佇む高い塔へ向けられていた。 この島に不似合いなほど、近代的な建造物。錆びた銀色に窓の一切ないその塔は、人びとに敬愛と畏怖をもってしてこう呼ばれていた。 『守護精霊塔』
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