1.過去

7/24
205人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
  解決したならそれでいい。 とっとと片付けてさっさと帰ろう。 俺は生徒会室の入口付近で、じっと麻希を待っていた。 『この日の封筒受け取ったの誰?』 役員のひとりが無愛想に言った。 その場の奴等が真顔になった。 『伝票出し忘れるって、普通有り得なくない? そもそも、発注リストと照らし合わせずに綴じたことになるじゃん』 まあそうだ、確かにそうだ。 原因が分かれば、手を抜いた箇所も明るみになる。 今後の課題にすりゃそれでいい。 だが、誰かはどうでもいい。 『誰?』 そいつは鋭く繰り返す。 その場の空気が凍り付いた。 ああめんどくせぇ。 責任追求に燃える輩は、俺の最も嫌いなタイプだ。 段々イライラしてきた俺は、近場にあったパイプ椅子を蹴飛ばそうと右足を振りかぶった。 その時。 『あー、先輩?』 麻希の場違いに長閑な声が、俺の足を引き留めた。 『私覚えてます。この日は先輩が受け取りました』 ズケズケ恐ろしい事実を躊躇なく言った。 そいつの目がキッとつり上がった。 ツカツカ麻希に詰め寄った。 だから俺もそいつの後を追った。 麻希に何かしやがったら、誰だろうと容赦しない。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!