序章

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はっきりとは言えないが、一週間程前から父の様子がおかしくなった。 穏やかな性格で、子供の自主性を尊重して一切口出ししてこなかった父が急に私の身の周りにうるさくなったのだ。 「鳴海、学校が終わったら真っすぐに帰って来なさい」 「え?何か用事あるの?」 「いいからこれからは毎日早く帰って来なさい」 いきなり門限が決められたり 「鳴海、外で知らない人に話しかけられても絶対に口を聞いては駄目だからね」 「…お父さん、私もう高校生なんだけど」 「鳴海、お菓子につられて知らないヘリコプターに乗ってはいけないよ」 「……」 父の急変ぶりに妹の七海にも 「お姉ちゃんてば何かやらかしたんじゃないの?」 「何にもしてないよ…多分」 特に身に覚えは無いのに余りの父の変わり様に不安になる。
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