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「だから、ずっと私の側にいて?」
台詞が出ないでいた向田君を
助けようとしたら、自然と身体が動いていた
この時、下から見ていた向田君は
完璧な白馬の王子様そのもの
年齢は変わらないのに
大人っぽくって置いてかれている気がした
「僕なんかで良いんですか?」
どこか不安そうに
どこか頼りなさそうに
「僕なんかで良いんですか?こんな惨めで経験も浅い…「あなたじゃなきゃあ!」え!?」
でも、緋音にとったら
「あなたしか。あなたじゃなきゃあ駄目なの」
「頼りないですよ?」
そんなことない
「頼りなくなんかない」
「じゃあ、ずっとお側に居ます。辛いときも哀しいときも嬉しいときも楽しいときもずっとずっとお側に居ます」
さっきまで、向田君の目の下で輝きを発していた物が頬を伝わった
でも、表情は穏やかで緊張がとれたんだとホッとした
「太陽のように暖かく包み込むのは無理でも月のように静かに優しくあなたを包みたい。それが僕の見つけた答えです。
ずっとあなたの事が好きでした」
「待ってた。ずっと待ってた。私もあなたの事が好き」
いつの間にか緋音も泣いていた
だって、台詞とは言え
さっきの向田君は格好良すぎる
珠理君の騎士もかっこよかったけど
私は向田君の王子様に心を奪われてしまった
あれ?ここで捌けるんじゃないの?
向田君は何故か
セットにあった白のカーテンに手をかけてそれを思い切って閉じた
風が心地良く靡いていて
観客席から見えるのは
2人のシルエットは抱きしめ合い
1つになっている姿だろう
だんだんと、お互いの顔が近付いて
1つになった
この先は
最後は2人だけの秘密
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