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六人は廃墟と瓦礫が連なる閑散とした地で、吹き荒れる冷たい風から焚き火を守る様に輪になっている。
紺碧の空には星がまばらで、この世界の終わりを優しく見守っている様にも見える。
「これで終わりなんだな。何もかも」
漆黒のマントに身を包む男が空を仰ぐ。
呼応する様に赤髪の男が叫んだ。
「これが正しい選択なのだろうか!!果たしてこれが本当に……」
赤髪の男は涙を浮かべて土を掴む。
誰も何も言えずに俯くばかり。
すると一人の少女が赤髪の男の頬を伝う涙を拭った。
「大丈夫です。最後位笑って下さい」
少女は涙を流しながら微笑んだ。
六人は冷たい風が鳴く中で、静かに涙を流す。
赤髪の男は湧き出る言葉や想いを必死に押し殺し、震える手を頬にある少女の手に重ねた。
「アイリス、本当に出会えて良かった。一生の……いや、我が一族の永遠の誇りだ」
四人が手を添える。
ーーーーありがとう。
アイリスは目を閉じた。
ここまでの旅の全てを記憶に焼き付ける様に思い巡らせる。
一際強い突風が焚き火の火をさらっていく。
「来るよ」
六人は立ち上がり鞘の剣に手を掛ける。
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