始まりは、唐突に。

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「白神さん、いい加減にするんだ。」 「メルちゃん!無理しちゃ駄目だよ。」 いつの間にか、同じチームの花房 五月くんとまーくんがそばに居た。 どうして?現地で待っているはずだったのに。 「帰りが遅いから迎えに来たんだ。そしたら話が聞こえて。ねえ、メルちゃん。」 五月が私の手に触れる。 冷たい手が気持ち良い。 「大事なクリスマスって、どうして?」 「クリスマスは…!みんな、大事でしょ。」 この話を、する気になれないもの。 この事は私一人が背負っていればいいの。 パパも知らない、私とママの秘密。 絶対誰にも知られちゃいけない、秘密。 「あのね、メル…お母さんね…。」 「メルちゃん?」 「言えないよ。でも、大切なの。特別なの。だからお願い…。私に、クリスマスケーキ作らせて…。」 頬に伝う熱を感じる。 それを拭う気にもなれなくて…。
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