第四章

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「連れてこられたのはいいけど…」 どこへ向かって、何をすればいいのかわからない。 「まさかこのまま粉になってビンに詰められたら…あぁいけない」 またいつものネガティブシンキング…。 ふと上を見上げたら、一筋の光が流れ込んだ。 紫苑が見えたような気がして、手を伸ばした。 「あと…ちょっと…。」 届きそうなのに、届かない。 届きそうだったけど、波に浚われて見失ってしまった。 「あ…」 一抹の寂しさが体内を駆け巡った。 あれは…何だったのかな。 暖かくて、眩しかった。 お母さんの笑顔みたい。 知りたいけど…掟を破る事になる。 もっと深くまで沈んだ。 暗闇の彼方へ閉じこもる為に。 でも…あの光の事を知りたい。 一瞬だけど、本当に紫苑が見えたから。
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