第三章

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深海は、別名『悲しみの海』。 暗くて怖くて、目を開けるのも億劫だ。 私はネガティブシンキングだから、こんな事も考えてしまう。 このまま何処までも堕ちていって、誰にも見つけられないのかな…って。 流石『悲しみの海』の異名を取るだけあって、ここに居るだけで悲しい。 でも涙が出ない。 不思議…。 落ち着く…。 …紫苑は今どうしてるかな。 ―その頃、紫苑は― 「…届くかな」 メッセージボトルを海に流していた。 中に2kgのおもりを入れて。 どこら辺にマリーが住んでいるか知っていたので、船に乗ってそこへ行った。 自家用の船、である。 マリーには内緒だが、紫苑の家は大金持ちである。 「きっと届く、よね、ヴィンティーネ」 「そうですね、お嬢」
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