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この家は崖の上にある。
切り立った岸壁を打ちつける荒れた海と、夜になれば何も見えない森に挟まれた場所に位置する。
部屋数はトイレと浴室をのぞくと、リビングと洗面所、そして2つの個室の4つ。
家に隣接する形で車庫があり、仲には友人が安価で譲ってくれたキューベルワーゲンがある。
家の住人は僕と少女の2人だけ。
たった1人の同居人である少女が自室でパジャマを着て窓際に腰かけている(部屋のドアが開いているので中の様子を窺えた)。
窓は開いており、少女は少しだけ身を乗り出している。
どうやら星を眺めているようだ。
時刻は午前2時。
そんな夜遅くに僕はトイレに行く途中で少女を見た。
「眠れないのかい?」
少女は首を横に振った。
「星が綺麗だから起きているの」
少女が微笑みながら言った。
淡い星明りに照らされた少女の姿は幻想的で、微笑みも妖艶なものに映る。
浮世離れした美しい少女の腰かけている窓際に寄って僕も星を見上げた。
確かに美しい星空だ。
今は冬なので、空気が澄んでいるが、特に今日の空気の澄み具合は特筆するに値するほどのものだ。
遠い空で星は燦然と輝き、暗い世界を照らしている。
海から冷たい風が吹き、少女をそっと撫でた。
画像 キューベルワーゲン![image=466303656.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/466303656.jpg?width=800&format=jpg)
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