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華奢な少年が何故そんな銃を、と謎は深まるばかりだ。
他にも謎はある。
何故、花畑にいたのか。
何故、銃を携帯していたのか、などなど。
銃は護身用だとしても銃身は晒されていたのだ。
花畑で何かあったと考えるのが無難だろう。
でも、何が?
よくよく思い返せば変な話だ。
あの花畑にめぼしいものはないし、第一有名ですらない。
危険もほぼない普通の花畑だ。
深い黙考の海に沈んだ彼女は顔を上げ、息を漏らした。
依然謎は解明されていないが少年が目覚めたら問えばいい。
そう結論づけ彼女はノックもせず、ドアを開けた。
部屋から仄かに甘い香りが漂ってきた。
小さく白い花を咲かせたミレイディスを連想させるそれは決して彼女の嫌いな香りではない。
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