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今日も仕事をするべく朝食をテーブルに置こうとする。
「…………だ、れ?」
突然投げ掛けられた音に危うく朝食を落としそうになる。
小さな声だったが彼女の頭には大音響で鳴り響いた。
「え……」
振り向いた瞬間、幻だろうと思った。
あまりにも綺麗で儚げで──実体が不確かだからだ。
例えるなら妖精。
目には見えるのに触れようとすると怯えて消えてしまう。
視界に映るこの少年も近づいたら、その姿を光で眩ませて失せてしまうのでは。
少年の背に妖精の羽が生えているように見えたほどだ。
この少年は幻影だと彼女は決め付けたが、すぐにそんなわけない、と声が返ってきた。
実際彼は実体があるし、ちゃんと生きている。
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